vSAN ベースの HCI VxRail の TOR スイッチ要件が意味不明?

 VxRailのスイッチ要件?

VxRailのスイッチ要件や互換性についてしばしば質問をされる。結論から言ってしまうと、VxRailとしてL2 スイッチに対する細かい要求は存在しない。極論でいえば、バカハブでよい。

したがって、必要な通信規格(10GBase-Tなど)を満たすポートが必要数あればよい。

タグVLANは必須だと勘違いされやすいところだが、なくてもいける。そのため、VxRail観点でいえば、L2 スイッチのベンダ、モデル、バージョンは問わない。

上記の内容はNetwork Guide にも書かれているはずだが、質問されることがおおいので再度確認してみた。


Network Guideをみてみる

VxRailのNetwork Planning Guide は以下。

VxRail Network Planning Guide (delltechnologies.com


Basic Switch Requirements として以下の記載がある。



要約すると、VxRailが利用する Top of Rack Switch においては、L3 Switchingの機能は不要であり、かつVLANもなし(flat)でも可能。ただしVLAN flat な構築は本番環境では推奨しない、という旨で記載されいてる。


要件と言いながら、必要なことが何一つとして書かれていないため、結局何が必要なのかがわかりにくい。そのため、質問が増えていると考えられる。

なぜこのような記載になっているのかを知るためにはVxRailとvSANの歴史を振り返る必要がある。


Requirementの文面の変遷

VxRailがリリースされた2016年では、同じ項目に以下の内容の記載があった。

・IPv4 のマルチキャスト機能が必要(vSAN6.2で必須)

・IPv6のマルチキャスト機能が必要(VxRailの自動検知で必須)

・L3 Switching機能は不要

・VLANはなくてもよい


上記のうち、1つ目のIPv4 Multicastは vSAN 6.6 (VxRail 4.5)以降で不要となったため削除された。

2つ目のIPv6 Multicast は、VxRail 7.0.130以降で手動検知が機能追加されたため、要件から外れた。

そのため、L3とVLANに関する記載だけが残り、要件なのに必要な機能が一切書かれていない、という不思議な状態になったというわけ。


IPv4 Multicastは完全に不要となっているが、IPv6 Multicast は自動検知を利用する場合はまだ必要となる。


結論

VxRailも当初はNetwork Guideやその他のドキュメントも、構築の手順書もシンプルにまとまっていてわかりやすく、入門者にとっても難易度が低かったが、製品が進化しより複雑かつ広範囲の顧客要望に応えるようになった一方でドキュメント自体は複雑になってしまったといえる。

入門者にはわかりにくい点もあり、そもそもすべてに目を通すのが時間的にも難しい場合も多いので、不明点があれば Dell Community で聞くのが良いと思う。

Dell Community はベンダーが提供するコミュニティフォーラムの中では、きちんとプロパーの社員によって管理・運営されており、品質が高い。レスポンスが返ってこないということはほとんどなく、返答のほとんどがその製品に関する有識者から得られるため精度が高い。


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