vSAN 環境のローリングアップグレードの部分的な実行について(vLCM利用)

 調査目的

vSphere LCM (vLCM) の機能を利用して、クラスタ内の一部のみをアップグレードすることができるのか。


調査背景

VMware vSAN環境においては、ESXi あたり2時間程度のUpgrade時間が見積もられることが多い。

管理VMのUpgradeや事前事後の作業も含めると、10ノードくらいのクラスタであっても、Upgrade完了まで24時間程度見積もっておく必要がある。

しかしながら、環境によってはそんなに長いメンテナンスウインドウをとることができないケースもある。

補足:vSphere/vSANとしてはUpgrade中であっても仮想マシンの可用性は維持できるため、メンテナンスウインドウは必須ではないのだが、ユーザのポリシーによっては稼働中のメンテナンス自体が禁止されていたり、vMotionによって発生するわずかな VM Stun や遅延を嫌う場合もある。



調査結果

vLCMのImage適用はESXi単体で実施できるため、操作としてクラスタの一部のESXiのみをアップグレードすることは可能である。

ソース:
https://docs.vmware.com/en/VMware-vSphere/7.0/com.vmware.vsphere-lifecycle-manager.doc/GUID-26EB282E-AD1E-425A-B4CF-1D70C0DE3C8F.html

引用

You can remediate a single ESXi host or multiple hosts in a container object. You can initiate remediation at a folder, a cluster, a data center, and even vCenter Server level.


https://juku-jp.vmware.com/resource/form_307/

 




ただし、VMwareとしては推奨をしていない(上記、VMware社主催セミナーのQAに基づく)

vSANを利用したHCIアプライアンスとしてVxRailがある。VxRailは独自のLCM機能を実装しておりVxRail LCMの範囲ではクラスタの部分的なアップグレードオプションはしようとして存在しない。
しかしながら、VxRail LCM は vLCMとの連携も可能であり、vLCMの機能を利用して、VxRail 管理下のESXiの一部のノードのみアップグレードすることは可能である。
(一般公開資料の範囲でドキュメントが見つからなかったためソースは割愛)

これによって、ESXi アップグレードの順番を明示的に制御したり、メンテナンスウインドウを分割することが可能である。

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