ロードバランシング設定とリンク障害~復旧時の挙動について

 

リンク障害とActive/Standbyの挙動について

Active/Standby、つまりNIC Teamingのロードバランシングで「明示的なFailover順序の使用」を選択し、ネットワーク障害検出で「リンク状態のみ」を選んだ場合の挙動について確認する





 

この場合は非常にシンプルな挙動となる。

つまり、平時は常にActiveに設定されたUplinkを利用し、Link Downが発生するとStandbyUplinkに切り替わる。

そして、Link復旧後は元のUplinkに戻ってくる(※Failbackが有効)

 

 

リンク障害とActive/Active ”発信元の仮想ポートに基づいたルート”について

次に、「発信元の仮想ポートに基づいたルート」を利用した場合の以下の挙動について確認する



 

該当のロードバランシング設定については以下のドキュメントに説明がある

発信元の仮想ポートに基づいたルート (vmware.com)

 

上記の設定においては、各仮想ポートに対し、Uplink利用の優先順位が基本的に固定的に割り当てられるため、Linkダウン時にもう片方のUplinkFailoverした場合、Link復旧後には元のUplinkに戻ってくる挙動となることを実機で確認した。

 

 

 

リンク障害とActive/Active ”物理NICの負荷に基づいたルート”について

次に「物理NICの負荷に基づいたルート」の挙動について確認した。

 

 

物理 NIC 負荷に基づいたルート (vmware.com)

 

 

この設定の場合、ドキュメントの説明にもある通り、物理NICの負荷に応じて利用するUplinkを動的に決めるため、

「仮想ポートに基づくルート」のように各仮想ポート毎に個別優先順位が設定されているわけではない、

そのため、リンク障害時にFailoverしたのち、リンクが復旧したとしても、その際に物理NICの使用率が75%を超えていなければ、

Uplinkの再アサインが発生しないため、自動的にFailbackすることはない。(実機で確認)

 

というか、今まで気づいていなかった(というかこのポリシーを使っていなかった)のだが、このポリシーにするとNIC チーミングの自動Failbackの設定項目自体がなくなっている。

 

 

スタンバイアップリンクがあるとどうなるのか

「物理NICの負荷に基づいたルート」のパターンにてスタンバイアップリンクがあるとどうなるのかを調べた。

 

パターン①:ActiveStandby1本ずつの場合

以下の構成で確認した。

 

 

この条件では平常時のUplinkは常にアクティブに寄っていた。

アクティブアップリンクのリンクダウン時はすべてスタンバイ側に寄っていた。

アクティブアップリンクのリンクが復旧すると、すべてアクティブアップリンクに戻ってきた。

※実機で確認

 

 

パターン②:Active2本、Standby1本の場合

以下の構成で確認した



この条件では平常時は該当PGの仮想ポートはUplink1Uplink2で分散されていた。(初期状態)

Uplink1を落としたらすべてがUplink2に寄った。

Uplink1を復旧してもUplink2にに寄ったままだった。

Uplink2を落としたらUplink1Uplink3で分散された

Uplink2を復旧したらUplink3を利用していたポートのみがUplink2を使用する状態にかわった(初期状態にもどった)

※実機で確認

 

 

パターン③:Active2本、Standby2本の場合

以下の構成で確認した


 

この条件では平常時は該当PGの仮想ポートはUplink1Uplink2で分散されていた。(初期状態)

Uplink1を落としたらすべてがUplink2に寄った。

Uplink1を復旧してもUplink2にに寄ったままだった。

Uplink2を落としたらUplink1Uplink3で分散された

Uplink2を復旧したらUplink3を利用していたポートのみがUplink2を使用する状態にかわった(初期状態にもどった)

※実機で確認

 

パターン②と全く同じ結果となった。今回の検証ではUplink4は利用されなかった。

 

パターン④:Active1本、Standby2本の場合

以下の構成で確認



 

この条件では平常時は該当PGの仮想ポートはすべてUplink1を利用している(初期状態)

Uplink1を落としたらすべてがUplink2に寄った。

さらにUplink2も落としたらUplink3にすべて寄った

その状態でUplink2を復旧させたらUplink2にすべて寄った(Standby同士ではFailbackのような動作になる)

最後にUplink1を復旧させたらすべてUplink1に寄った(初期状態に戻った)

※実機で確認

 

「物理NICの負荷に基づいたルート」の場合、Active アップリンク間でのFailbackは発生しないが、

Standby アップリンク間ではFailbackのような挙動となることが分かった。

 

 

パターン⑤:Active1本、Standby2本の場合(順序入れ替え)

以下の構成で確認(Uplink2Uplink3の順序が逆)



 

この条件では平常時は該当PGの仮想ポートはすべてUplink1を利用している(初期状態)

Uplink1を落としたらすべてがUplink3に寄った。

さらにUplink3も落としたらUplink2にすべて寄った

その状態でUplink3を復旧させたらUplink3にすべて寄った(Standby同士ではFailbackのような動作になる)

最後にUplink1を復旧させたらすべてUplink1に寄った(初期状態に戻った)

※実機で確認

 

Standby アップリンクの挙動がパターン④と逆になった。

このことから、ロードバランシングポリシーはActiveアップリンクにのみ適用され、Standby アップリンクに関しては「明示的なFailover順序」 &自動Failbackと同等の挙動になると考えられる。

 

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